裂肛(切れ痔)

裂肛は、「切れ痔」とも呼ばれます。かたい便が肛門を無理に通過したために、肛門の出口付近が切れることで起こります。

裂肛の症状は、「痛み」と「出血」です。排便時の痛みへの恐怖心から、排便を抑えるようになり便秘となります。便秘のためにさらに便が固くなり、何回も同じ場所が切れるという悪循環になります。さらに裂肛の刺激で肛門括約筋の緊張が高くなり、よけいに傷が治りにくくなります。

切れたり治ったりを繰り返すうちに、裂肛がどんどん慢性化して潰瘍になり、いずれ肛門が狭くなってきます。
 

裂肛(切れ痔)についてのQ&A

裂肛の治療法は?
軽症の裂肛であれば、便通の改善を行い、軟膏を使用することで治すことができます。軟膏を長期間使用しても治らなかったり、慢性化して皮垂(みはりいぼ)や肛門ポリープといった突起が出現したり、肛門が狭くなってしまうと、薬で治すのは困難です。この場合には手術をお勧めしております。
便通の改善はどうすればいいの?
裂肛の原因として一番多いのが便秘です。便秘を改善しないと、裂肛はなかなか治ってくれません。裂肛の方には「便を軟らかくする薬」を処方することが多いのですが、それに加えて「食生活の改善」も必要です。

便秘の改善に必要なのは食物繊維です。穀物や野菜に多く含まれているのですが、これを多めに摂取するときは水分も十分に取る必要があります。食物繊維だけたくさん摂取しても、便通が改善しないことがあるのです。

おすすめなのは「寒天」です。寒天は水分摂取を意識しなくても効果があるので便利です。サプリメントも通信販売で色々入手可能です。寒天は「便秘の改善」と「ダイエット」で一石二鳥だと思いませんか?

軟膏をずっと使っていても治りません。このまま治療を続けてよいのでしょうか?
しばらく(3か月~半年が目安)薬で治療しても治らない場合には、同じ治療を続けても治らないことが多いです。この場合には、手術を考慮したほうがよいかもしれません。手術が必要なケースに薬を延々と続けても、時間と治療費の無駄になってしまうのです。

さらに運が悪いと、裂肛から細菌が侵入して痔瘻ができたり、肛門が狭くなったりして余計大変になりかねないのです。

手術はどのようにするの?
裂肛の手術はじめに裂肛と、それに伴う皮垂(みはりいぼ)や肛門ポリープを切除します。

これで苦痛の原因はなくなるわけですが、これだけだと裂肛が治る可能性は低いのです。裂肛のために肛門括約筋の緊張が高くなっているので、この緊張を正常に戻す必要があるのです。

側方内括約筋切開術

肛門括約筋の緊張をとるために、側方内括約筋切開術が行われています。これは内括約筋という長い筋肉のごく一部を、肛門の右か左でわずかに切開する方法です。切開される領域はわずかなので、術後に肛門がゆるくなるようなことはありません。実際に治療に要する時間は5分程度です。

一方、重症の裂肛で肛門がかなり狭くなった場合には、この方法で治すことはできません。この場合、肛門をひろげる手術(肛門拡張術)が必要となります。この場合には入院が必要です。

手術を受けて再発することはありますか?
肛門がひどく狭くなっている場合を除けば、再発する可能性は高くありません。確実に治す方法を色々と工夫していった結果、現在ではほぼ全員(およそ98%)で、一度で治る方法を確立しています。
術後に肛門がゆるくなることはないですか?
裂肛の手術を受ける方がよく心配されるのが、「肛門がゆるくならないか」ということです。裂肛の手術の際には、側方内括約筋切開術という方法を行うことが多いです。括約筋を切開すると聞いて、心配されるのは無理もありません。

このとき切開されるのは、内括約筋という筋肉です。内括約筋は比較的長い筋肉なのですが、このとき切るのは下端のごく一部です。しかも広げすぎないように注意しながら少しずつ切開していくので、肛門がゆるくなる恐れはまずありません。術後1~2ヶ月たって裂肛が治癒するころには、正常の排便状態に戻ります。

イメージとしては「正常の筋肉を切ってゆるくする」というよりも、「緊張してしまりが強くなりすぎた筋肉をほぐして、正常のしまりに戻す」という感じです。

日帰り手術はできますか?
狭くなっていない裂肛の場合、日帰り手術が可能です。一方、重症の裂肛で肛門が狭くなってしまった場合には、入院手術が必要です。