便秘とは
原因は、栄養バランスの偏った食事や運動不足といわれていますが、消化器疾患を発症しているサインかもしれません。長期にわたり、便秘を生じていると、大腸疾患や痔を発症しやすくなります。また、浣腸や市販されている刺激性下剤を用いることで、さらに便秘が悪化する可能性があります。腹痛やお腹が張るような感じがある、長期間便秘が続いている、繰り返される下痢と便秘を生じている際は、詳しく調べる必要があります。便秘が長く続いている方は、市販されている刺激性下剤に頼らずに消化器内科へご相談ください。
便秘の種類について
3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても便が残っているような感じがする場合は、便秘の定義に当てはまります。排出するべき便量を体外に排出できない状態です。便秘は、女性の方が生じやすいと言われていますが、男女ともに多くの方が悩まれています。加齢に伴って、腸機能が低下することで便秘を生じるケースもあります
器質性便秘
便の通過ができなくなっている状態です。大腸がんや炎症性腸疾患、腹部を手術した後の癒着が原因といわれています。女性であれば直腸瘤の発症により、器質性便秘を生じやすいです。適切な治療を受けていただく必要があります。
症候性便秘
消化器疾患の症状や糖尿病、甲状腺疾患の合併症として生じます。
薬剤性便秘
ぜんそくや頻尿、パーキンソン病の治療に用いられる咳止め薬や抗コリン薬、抗うつ薬は腸の働きを鈍くさせる副作用があります。
機能性便秘
消化管の形態的な変化がなく、器質性便秘・症候性便秘・薬剤性便秘に当てはまらない状態です。ストレスと関わりが深い自律神経が関与していると言われています。
便秘を生じやすい消化器疾患
大腸がん、過敏性腸症候群、裂肛、痔核、炎症性腸疾患、直腸脱、直腸瘤、骨盤臓器脱などが関係しています。大腸がんがS状結腸や下行結腸に発生した場合は、便秘を生じやすいといわれています。また、長期間、便秘を生じていると大腸疾患や痔を発症しやすくなります。調査によると、結腸直腸がんと排便頻度は関連性があり、発症リスクが上昇するというデータもあります。
検査・治療方法
症状の内容や服用中の薬、既往歴などをお尋ねします。便秘の原因を調べるために、大腸カメラ検査を行い、必要に応じて血液検査や腹部エコー検査を追加します。大腸カメラ検査は、大腸の粘膜を詳しく観察することができるため、形状の異常や小さな病変も見逃しにくいです。内視鏡検査なら検査中に気になる病変は一部組織を採って、生検で詳しく調べることもできます。原因となる疾患を特定することは、器質性便秘の治療につながります。また、薬物療法では緩下剤や浸潤性下剤、刺激性下剤、漢方薬などを用います。排便習慣を改善し、栄養バランスの良い食事や運動など、規則正しい生活習慣を心がけましょう。
便秘が続いていましたら、受診しましょう
排便後スッキリしない状態が持続したり、いきんでも少量の便しか出ない場合は、受診されることを推奨しています。よくある症状と思っていても、消化器疾患を発症しているサインかもしれません。また、便秘がひどくなると、日常生活に支障が出てしまうことがあります。市販の便秘薬に頼らずに、消化器内科で適切な治療を受けることで、繰り返す慢性的な便秘の改善につながります。